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2024年4月13日長浜にて第二回青猫堂セミナーを開催しました。
今回のテーマはノーベル文学賞を受賞した作家ル・クレジオ。
今福龍太がどのような偶然によってメキシコの火山高原でル・クレジオと邂逅することになったか。
そしてその縁が22年後の再会へと繋がり、二人で奄美の島々を旅することになった経緯などを
個人的エピソードを交えながら語りつつ、この幻視的な作家の作品の魅力を解いていきました。
中心となったのは『悪魔祓い』と『物質的恍惚』の二冊の本で、どちらも現在は岩波文庫に収録されている身近な作品です。
インディオの具体的な世界と、文学によるエクリチュールが生みだす観念の世界とを往還する、スリリングな語りが展開されました。
後半は、ル・クレジオがノーベル文学賞の受賞スピーチでスウェーデンの作家スティーグ・ダーゲルマンについて
熱く語っていたことから、この知られざる作家について奥山裕介さんから解説していただきました。
奥山さんの専門はデンマーク文学ですが、北欧の文学・文化全般にも精通されていて、
私たちの頭のなかに北欧の陸と海の複雑な地図が広がってゆくような、とてもわかりやすく刺激的な学びが貴重でした。
フランスとスウェーデン、という地理的な場の違いを超えて、
若い時代の戦争体験の傷や、歴史を「はからずも」証言することへの使命、
そして文字の読めない貧しい者たちに向けて小説家が何をできるのかという逆説をひたすら考え抜くこと。
これらの重いテーマが二人の作家を深いところで結びつけていることが理解できました。
青猫堂セミナーが終わったあとの夕暮れ時、横笛の音色に誘われお祭りへ。
曳山祭りの山車では子供歌舞伎の演目が始まっていました。
子供たちが一生懸命練習して、この晴れ舞台に立っています。
昔からのしきたりとして、男の子しか舞台にはあがれません。
八・九歳の男の子だからこそ表現できる、不思議な色気。女方の衣装を身に纏う子供たちはとても純粋で美しいです。
舞台となる山車にもそれぞれの地区によって、独特の飾りで彩られていて見ごたえがありました。
本をめぐるセミナーのあとの子供歌舞伎のお祭り。
今回は特別の流れが生まれ、すばらしい一日となりました。
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